【個人投資家取材】元証券ディーラー谷山 歩氏の今後の相場展望・注目銘柄

【著者】 児山 将



【第1弾】証券会社のディーリングとは?         取材日:6月3日(金)

日本株の今後の展望

-日銀の急落をこなして、伊勢志摩サミットを無事に通過し、いよいよ参院選へと向かいます。日経平均の今後をどのように見ていますか?

谷山:16,000円は1つのポイントなのかなと見込んでいます。そこを挟んだレンジ相場を形成するのではないでしょうか。このままするすると上がっていく印象はありません。

夏場に入っていくということもあるのですが、やはり1月、2月の急落で投資家が神経質になっていて高値を買っていく人が少ない。
それで、※信用評価損益率の上限も下がってきているのでしょうね。何か政策が出れば別だと思いますが、今のままだとレンジ相場でしょう。
信用取引で株式を買建(買付)している投資家の評価損益を信用建玉残高で割って100を掛けた数値

■日経平均株価
日経平均株価

谷山:大統領選挙のアノマリーとしては米国株は上がるのですが、日本市場には懐疑的です。
なぜかというと、今年の日本市場の雰囲気はここ数年のアベノミクスの流れとは明らかに異なっています。チャートを見るとわかりますが、年初からのチャートがリーマンショック前の2008年の時に似ているんですね。いまの日本市場はやはり独自なんです。米国の株式市場にはあまり連動しておらず、為替頼みのところが大きいですよね。米国の株式市場が上がっても日本は上がらない。

とはいえ、このまま日本市場が大きく下落してしまうというイメージもありません。

-今後も日銀金融政策決定会合の度に金融緩和が意識されることもあるのかと思いますが、どうみていますか。

谷山:そんなに意識しないようにしています。政策への思惑に沿って売買をしてしまうと損をしてしまう傾向にあると思うので、なるべく考え無い様にしています。
思惑に乗るのも大事なのですが、結局何もないと4月のように悲惨なことになりますよね。

-4月末の日銀金融政策決定会合の後は日経平均が800円も下落してしまう事態となりましたが、その時はどうでしたか?

谷山:3月末の権利確定が過ぎたのに株価がほとんど下落しなかったので、保有株を半分ほど利益確定していました。そして急落を迎えましたので、『また1月、2月級の下げが来た』のかなと思い、信用評価損益率を見ながら逆張りで待っていました。
しかし、意外にも下げが弱かったという印象です。というのも、信用評価損益率は、4月は-15%までありましたので、2月と同じだと-20%くらいまではくるとみていました。

信用評価損益率は、-5%になったあたりから相場の天井を意識し始めるのですが、相場の下落に対しては、ダブルインバースで少しづつヘッジ買いするようにしています。

この信用評価損益率に関しては、松井証券で日々更新されています。

日経と評価損益率
(出所:松井証券

-今年は大統領選挙があります。もし、トランプ氏が当選したらどうなるでしょうか。

谷山:なってみないと分かりませんが、トランプ氏が日本市場に良いという印象はないですよね。米国が軍事に力を入れ始めると、株は上がり易くなるのかなとも思うのですが、今のところ予想したくないというのが本心です。

谷山歩

ブランジスタ、アキュセラの急落について

-本日、8日ぶりにアキュセラが寄り付きました。6日連続のストップ安記録となりましたが、この銘柄についてなにかありますか?自分としては、昨日の売り残をみていて1,000円台で寄ったのがかなり驚きだったのですが。

谷山:自分はけっこう上じゃないのかなと見ていました。昨日(6/1)少し見ていたのですが、売り600万に対して買いが一時的に150万株に増えたのです。それで、「この水準のストップ安だと欲しいんだな。」と感じました。結局、大引け間際に無くなって出来高は8万株でしたけど。そして、今朝(6/2)見ていたら200万株の買いが入っていて、ストップ安にはならない。590円だと(ストップ安)みんな欲しいんだなって。

アキュセラが暴騰する前は、700円前後でした。なので、そこまでは下落せずに800円とかで寄り付くんじゃないのかなと予想していたら、なんと1,000円付近で寄り付きましたよね。

■アキュセラ・インク (4589)
アキュセラ

一方、ブランジスタ(6176)は8,000円くらいから危ないなと感じました。
というのは、5,000円を越えてから急に6,000円、7,000円とガンガン上げ始めたんですよね。こうなったら上げ幅も早いですが、急落するリスクも高くなります。

でも、ブランジスタの場合は逃げどころがあったので傷は浅くても済むのですが、アキュセラは酷かったですね。天井から落ちた時も、板がスカスカだったので成行で売っても逃げられない。

アキュセラの下落は、本当に買い手不在で落ちていったという感じですね。下落しながらも、途中8万株ずつくらいしか約定がなかった。ブランジスタは3日連続でストップ安でしたけど、しっかりと途中で買い手がいました。

アキュセラがこのような暴落となった原因としては、時間外取引がなかったのも影響もあったんだと思います。ジグソーやブランジスタはPTSで値段の目星が付くのですが、アキュセラはそうじゃない。

今回の下落は、改めてテーマ株の下落の怖さを感じました。

-マザーズの時価総額ランキングも4位から18位に急落しましたね。マザーズの寄与率が下がったのは良かったなとは思うのですが、、バイオ・創薬銘柄の怖さを感じました。

テーマ株への取り組みについて

-谷山さんはあまりテーマ株に投資されないようですが、個人投資家の多くは急騰率の高いテーマ株への投資を好みます。なにかアドバイスがあれば教えてもらえますか?

谷山:テーマ株にも色々あって、例えばVR/ARやビットコインのような一般的に身近でないテーマは自分は懐疑的です。多くの投資家さんも、詳細を分かって買っている人は少ないのではないでしょうか。

一方、越境ECや民泊なんかは馴染みがありますし、直ぐにイメージできますよね。
そのようなテーマの方が実態が伴うために安心して取引に参加することができると思います。

-なるほど!チャートを見ると、AR/VRで上げたサイバネット(4312)は最初の暴騰後の高値から一度は半値以下にまで落ちてしまっています。でも、越境ECのHamee(3134)は一度調整した後高値を更新していますね。

■サイバネット(4312)
サイバネット

■Hamee(3134)
Hamee

谷山:民泊関連では、インベスターズクラウド(1435)やハウスドゥ(4357)も良かったですね!

自分が身近に感じる旅行というテーマで注目しているのは、オープンドア (3926)があります。国内外格安旅行の比較サイト「トラベル子ちゃん」を運営しているのですが、業績も非常に良く夏の旅行向けて取り上げられる機会もあるのかなと思います。

■オープンドア(3926)
オープンドア

また、テーマ株が続伸するためには業績が伴っていなければならないと思います。
少し前のゲーム関連ではガンホー(3765)やコロプラ(3668)。確かに過熱感がありましたけど、業績が伴っていたので下げても上げ幅の半値割れくらい。
ミクシーも、一度爆上げした後に半値くらいまで下落しています。
しかし、その後もなんと7倍くらいまで上昇して、スタート時点から換算すると30倍ほどの上昇です。

業績がついてくると、同じテーマ株でも株価は大きく違いますよね。

おすすめブログ、サイトについて

-日ごろ見ている投資家さんのブログやおすすめのサイトがあったりしますか?

谷山:最近では兼業投資家のAvexfreaksさんの『資金管理の掟』とv-com2さんの『21世紀投資』ですね。

V-com2さんは優待新設などのイベントなどから指定替えを狙ったりする手法なのですが、最近ではこのかたの手法を真似している人も多いみたいですね。
V-com2さんのブログ『21世紀投資

avexfreakさんは兼業トレーダーでスイングトレードをメインとされています。ブログを読んでいると、良いところでキャッチできるので毎日読むことをオススメします。

私が株式取引をする際に相場の暴落時の底を意識するようになったのは、この方の影響もありますね。
avexfreakさんのブログ『資金管理の掟

あとは、四季報オンラインは有料会員になっていて、スクリーニングツールは非常に重宝して使用しています。高配当銘柄、バリュー優待株、四季報強気銘柄、優待株銘柄などリストしておき、こういった銘柄を、急落時に拾うようにしています。

例えば、ピープル(7865)は昨年の春先から注目していて、今は倍になっています。途中、増配もしていますね。2015年の8月末に株価が急落した際には配当利回りが7%にまで上昇ました。好業績の銘柄でここまで上がることはなかなかないので買いましたね。

■ピープル (7865)
ピープル週足


-相場が大きく下落した時にいかに買える銘柄をストックしておくかが大事ですね。

谷山:また、四季報強気の銘柄は上値を追っていったりします。
四季報強気でピックアップした銘柄に、ケイアイスター不動産(3465)とオープンドア(3926)、ユニバーサル園芸社 (6061)がありました。
このなかで実際に買ったのはケイアイスターでした。
これは、1,000円台から積極的に追って4月で利益確定した後、再び買い戻して利益を追っています。

四季報をちゃんと読むようになってから、多くの銘柄を知る様になりました。ディーラーはいい意味でも悪い意味でも取引する銘柄が固定化されてしまうので、銘柄については詳しくならないですね。

-今後の注目銘柄はなにかありますか?

谷山:システムリサーチ(3771)という製造業を中心とした企業向け情報システム構築と保守・運用を行っている会社があります。

■システムリサーチ(3771)
システムリサーチ

ある時、株式2分割、10円の増配、株主優待(QUOカード)の新設というビッグIRを発表しました。

参考: 株式分割、定款の一部変更および配当予想の修正ならびに株主優待制度の導入に関するお知らせ(2月10日)

ただ発表タイミングが悪くて、残念ながら日経平均株価が15,000円まで突っ込んだ日でした。普通の日であればストップ高になっても良いのかなというIRだったのに、思いのほか強く上がらずに非常に惜しかったですね。さすがに時間が経つとともに大きく上昇してきました。PERは10倍以下なので、まだ狙い目ではないでしょうか。

第3弾は、優待投資法や投資初心者におすすめの投資法などを予定しています。
お楽しみに!

【第3弾】優待投資法と初心者に向けたアドバイス

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