PERの使い方を理解して投資に生かす方法

【著者】 児山 将

株価の割高・割安を図る指標としてPER(株価収益率)があります。

計算式は、株価を1株あたりの利益で割ると出てくる簡単なもので、投資入門の最初に出る専門用語と言っても過言ではありません。

PER(株価収益率)= 株価 ÷ 1株当たりの利益
(参考:PERとは

このPERの適正値は15,6倍と言われており、基本的にPERが低ければ低いほど、会社が稼ぐ利益に対して株価が割安だと考えられます。
そのため、業績が悪化しない限りいずれは適正値に戻ると考えられます。

しかし、PERは正しく理解しないと実際の投資で大変な目に合いますので、その例と正しい使い方を紹介したいと思います。

筆者は、参考までに見ますがほとんど関係ないと思っています。

新興銘柄にPERは全く当てにならない

まずは、2017年1月31日時点のPERの高い銘柄トップ10をご覧下さい。

順位 コード 市場 名称 株価 1株利益 PER
1 7774 東証JQG ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング 1,370 (単)0.12 (単)11,416.67
2 3625 東証JQG テックファームホールディングス 1,320 (連)0.16 (連)8,250.00
3 3521 東証1部 エコナックホールディングス 51 (連)0.01 (連)5,100.00
4 4512 東証1部 わかもと製薬 249 (単)0.06 (単)4,150.00
5 4980 東証1部 デクセリアルズ 1,242 (連)0.33 (連)3,763.64
6 9664 名証2部 御園座 405 (単)0.14 (単)2,892.86
7 6955 東証2部 FDK 93 (連)0.04 (連)2,325.00
8 2489 マザーズ アドウェイズ 496 (連)0.25 (連)1,984.00
9 7603 東証JQS マックハウス 917 (単)0.65 (単)1,410.77
10 7604 東証2部 梅の花 2,681 (連)2.27 (連)1,181.06

(出所:Yahoo!ファイナンス 高PER(会社予想

ご覧になるとお分かりですよね。

新興・バイオ・IT銘柄は時にですが、PERが100倍、200倍になったら売りというのは全く持って機能しないという結果を表しています。

アドウェイズなどは、もう10年以上も前に上場していますし、梅の花は高級和食店を運営しているのですが、1000倍以上のPERを誇っています。

結果、PERなんて指標は当てにならないという答えが出ることになりますよね。

正しいPERの使い方

では、PERは全く使えないのでしょうか?

そうではありません。業種によっては、かなり有効な判断材料になり得るのです。

東証が様々なデータを公表しており、その中に『規模別・業種別PER・PBR』というものがありますので、それを見てみましょう。

市場一部 規模別・業種別 PER(連結) 2016年12月末
種別 単純株価 会社数 単純 加重
平均 PER 1株当たり当
期純利益
PER 親会社株主に帰属
する当期純利益合計
純資産
合計
総合 1,994 19.6 14.13 18.6 305,641 4,501,419
 大型株 99 22.9 30.19 17.3 172,684 2,325,315
中型株 400 22.1 19.27 20.9 94,602 1,545,850
小型株 1,478 17.9 11.73 19.0 38,235 629,116
総合(金融業除く) 244.7 1,857 20.7 13.42 20.4 244,897 3,508,344
製造業 897 22.6 13.69 20.3 142,550 1,978,003
非製造業 240.9 960 18.9 13.17 20.5 102,346 1,530,340
1 水産・農林業 251.3 7 20.0 10.09 22.3 281 3,995
2 鉱業 519.0 7 33.2 6.44 89.1 227 39,310
3 建設業 193.0 101 11.4 30.77 13.8 11,635 114,013
4 食料品 627.4 77 26.9 14.72 24.8 10,941 126,398
5 繊維製品 199.6 39 19.5 11.86 18.2 1,975 31,404
6 パルプ・紙 12 25.3 8.29 23.3 614 20,109
7 化学 168.8 139 18.9 18.03 21.4 16,572 233,259
8 医薬品 168.3 39 23.7 15.09 27.5 9,947 130,493
9 石油・石炭製品 232.3 11 -6.12 -3,954 33,320
10 ゴム製品 200.1 11 14.0 24.30 12.1 4,075 37,423
11 ガラス・土石製品 204.2 32 20.1 14.12 22.4 2,263 44,168
12 鉄鋼 196.7 32 34.0 6.69 24.7 2,707 87,116
13 非鉄金属 139.6 24 44.4 6.58 22.5 1,970 49,468
14 金属製品 215.9 40 18.3 11.86 29.7 1,375 37,528
15 機械 190.0 132 18.0 15.34 19.4 13,539 177,437
16 電気機器 202.5 162 28.2 12.66 26.8 23,790 388,227
17 輸送用機器 64 18.7 14.52 11.6 50,524 485,087
18 精密機器 314.5 28 21.7 14.10 23.1 3,327 32,920
19 その他製品 31.9 55 26.2 10.72 34.5 2,880 63,639
20 電気・ガス業 21 13.2 17.70 9.4 9,958 99,733
21 陸運業 60.8 41 24.9 20.20 26.6 8,284 135,263
22 海運業 141.9 8 -23.71 -2,080 20,730
23 空運業 184.0 3 14.5 24.17 9.4 2,527 16,805
24 倉庫・運輸関連業 175.3 22 17.9 17.77 18.0 704 14,680
25 情報・通信業 167 23.6 8.30 17.7 32,344 334,342
26 卸売業 79.3 164 14.4 12.94 30.1 7,778 251,546
27 小売業 118.4 190 26.0 10.97 28.2 11,462 167,481
28 銀行業 63.1 84 10.4 29.14 10.5 40,981 726,616
29 証券、商品先物取引業 97.9 22 14.2 11.59 15.1 3,754 56,095
30 保険業 140.4 9 14.9 18.16 13.6 9,769 145,404
31 その他金融業 22 11.8 17.20 12.8 6,238 64,959
32 不動産業 62 15.9 16.33 19.0 7,328 92,880
33 サービス業 167 23.6 8.03 24.0 11,894 239,557

こうやってみてみると、建築、繊維、ゴム製品、機械、輸送用機器、倉庫、運輸関連、不動産業が比較的適正水準に収斂されると考えられます。

これをさらに詳しく見てみましょう。

PERが参考にならない業種

まずは、PERが使えない業種と知っておきましょう。

25の情報・通信業というのは、いわゆるTI系です。一発ヒットを出せば株価が何倍にもなるゲーム銘柄やネットサービス銘柄が含まれています。

例えば、アカツキ(3932)は33.23ですが、マイネット(3928)は124.48、セキュリティのFFIR(3692)に至っては500となっています。

また、サービス業にもミクシィ(2121):7.42や、ネット広告のフルスピード(2159):19.63が入っているためアテになりません。

日本M&Aセンター(2127)    :42.16
リンクアンドモチベーション(2170):37.47
テンプホールディングス(2181)  :23.01
クックパッド(2193)       :21.93
極楽湯ホールディングス(2340)  :57.85
カカクコム(2370)        :28.03

医薬品もバイオベンチャーなどが入ってくるため参考になりませんが、個人投資家に人気の高いそーせいグループ(4565)は17.01と意外にも低くなっています。

比較的PERが参考になる業種

では、PERが参考指標となる銘柄群を上記でみた業種の中から具体的にみていきましょう。

業種別平均PERをざっと覚えておくと、押し目買い・利食いの際に役に立ちそうです。

では、メガバンクはどうでしょうか。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) :12.04倍
みずほフィナンシャル・グループ(8411) :8.76倍
三井住友フィナンシャル・グループ(8316):8.74倍となっており、比較的割安傾向にあります。

同じく、伊藤忠商事や7.18倍、丸紅(8002)は9.19倍、三井物産(8031)は12.94倍、三菱商事(8058)は11.58倍と商社のPERは比較的低い状態にあります。

では、2017年1月時点で好調な不動産業界はどうでしょうか。

三井不動産(8801)     :20.58倍
東急不動産HD(3289)    :13.43倍
野村不動産HLDGS(3231)   :8.88倍
ケイアイスター不動産(3465):8.86倍
平和不動産(8803)     :13.99倍

こちらもばらけていますが、比較的10~20倍で落ち着いています。

三井不動産は、最高益を出しており、今後の不動産開発も予定もあるため20倍を越えているのでしょうね。

最後は、証券会社を見てみましょう。

野村ホールディングス(8604):12.51倍
大和証券グループ本社(8601):12.53倍
岡三証券グループ(8609)  :14.25倍
SBIホールディングス(8473) :11.70倍
松井証券(8628)      :25.10倍
カブドットコム証券(8703):21.20倍

大手になればなるほど、12倍程度で落ち着き、ネット証券専業となると、20前半あたりが適正水準といえそうです。

ちなみに、FX会社になると、GMOクリックホールディングス(7177)が12.24倍、マネーパートナーズ(8732)が18.07倍、ヒロセ通商(7185)が12.53倍となっています。
マネーパートナーズはビットコイン事業に参入するという思惑で買われていますので、飛び抜けていますが、適正水準は12~13倍あたりといえそうです。

いかがでしたでしょうか?

PERは使えない業種や市場も多いですが、銘柄群を細かく見ていくと売買の判断材料に役立ちます。

単純な割安・割高に振り回されることなく、PERを上手に使って投資で成功したいですね!

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