東芝は上場廃止にならず特設注意市場銘柄へ

【著者】 児山 将


東芝3社長辞任という異例の事態に

7月20日(月)東芝は不適切会計処理の責任を取り、21日に田中久雄社長らが記者会見し、辞任を表明する見通しと日経新聞が報じました。

しかし、社長辞任があく抜け材料と見たのか海の日を開けた東芝の株価は上昇。17日の終値376.8円から401.8円まで上昇しました。

実際に、この日の夕方の経験で田中社長と前社長である佐々木則夫副会長、前々社長の西田厚聡相談役の歴代3社長が辞任することとなりました。
参考までに、利益操作は2008年度から14年度の12月期までで、総額1,562億円。

この額は過去に例を見ない額となりますので、上場基準を満たしていないこととなり、まずは監理ポスト入りとなります。

しかし2013年の制度改正され、有価証券報告書の虚偽記載は、内部管理体制を改善する必要がある企業として「特設注意市場銘柄」に指定することとなったようです。

つまり今はグレーゾーンであり、ちゃんとするということが分かればセーフとなるということですね。

TOSHIBA東芝の場合は、「チャレンジ」と呼ばれる過大な収益目標と損益改善要求を課していたことが不適切会計の根源のようです。達成不可能に近い無茶?な予算を達成するために、翌期以降の利益の前借りをするなどして数字のマジックを見せるしかなかったということですね。

これに異を唱える人もいたでしょうけど、「上司の意向に逆らえない企業風土があったこと」が問題を長期化されたのでしょう。そしてこれだけの期間において監査法人にバレることがなかったのは、外部から発見されにくい巧妙な手法で行われていたようです。そんな能力はもっと別に生かして欲しいのですが、、非常に残念ですね。

しかし、何だかんだいいながらも東芝は日本を代表する超一流企業。さらに、国策が絡んでいるということと、銀行からの借入金が1兆8,000億円程あることから、もし上場廃止という事態に陥れば東芝ショックが起こることは避けられないでしょう。

こうなってしまえば非常に大きな問題となってしまいます。
そうならないために、大人の事情でなにがなんでも上場廃止は阻止するのではないでしょうか。まぁ、内部統制が改善され上場廃止になれば市場にとっても一番良いのですが、そうでない場合は日本企業に対する不信感が世界から募ることとなってしまうでしょうね。

社長辞任でも上昇!誰が東芝の株を買っているのか!?

社長辞任という一見悪そうなニュースですが、これで問題の根源が一部無くなったということであく抜け上昇となったとみるのが自然です。
とはいえ、5月に問題が起きる前の株価(400円台後半)には到底戻っていません。問題解決はそう簡単に終わりそうもなく、スケジュールの目途も立っていない様子です。

しかし、東芝の信用建玉を見てみると売りの数の4倍買い玉があります。(7/24時点)加えて、5月21日に世界最大の資産運用会社であるブラックロックの日本法人が東芝の株を5月15日時点で5.1%ほどの保有となったことは有名です。

この保有比率が1%以上増減すると5営業日以内の報告義務が発生することから、ブラックロックはまだ売却に動いていないと想定できます。

東芝(6502)

市場参加者の多くは、これ以上の悪材料は「刑事告訴」「上場廃止」しかないとみて、空売りのポジションを閉じ買いに回っているようです。

刑事告訴となれば歴史的大事件となってしまいそうですが、最初から不適切会計を行うことを目的にしていたかどうかが人により見方が変わってきそうに思えます。

第三者委員会(委員長=上田広一・元東京高検検事長)の報告書によると、「いくつかの案件においては、コーポレート(社長、事業グループ担当執行役などの総称)の経営トップらまたは社内カンパニー(自主経営責任を負う東芝の事業部門)のトップらが、『見かけ上の当期利益のかさ上げ』を行う目的を有していた事実が認められる」として、田中社長ら歴代経営陣の責任に言及した。田中社長らの刑事告発に発展するかどうか、その点も今後の焦点の1つになる。

(参考:ロイター 焦点:東芝株は特設注意市場銘柄へ、上場廃止当面回避の公算

東芝が法人として刑事告発されれば、東証は上場規程に則り公益性や投資家保護の観点から上場廃止の議論することになりますが、ここまでくれば恐らくアウトでしょう。

ちなみに、特設注意市場銘柄に指定されてから原則1年以内に内部管理体制の改善がないと判断されれば、上場廃止になりますので、タイムリミットは来年の夏までとなりそうです。

信用取引のポジションを見る限り、「大人の事情」が絡んで上場廃止となることはないと読み買っている人が多いようですが、もし上場廃止となれば翌日に寄り付くことなくストップ安となる可能性が濃厚です。

非常にリスクが高い取引となるので、けして手を出すことなくこの件を追っていこうと思います。

参考:東芝が上場廃止になれば、株価はどこまで下がるのか
   東芝の粉飾決算の今後の行方

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