トランプリスクは根拠なき幻想。むしろヒラリー大統領の方がハイリスク!?

【著者】 児山 将

トランプ候補11月7日(月)に投開票となる米国大統領選挙。
(大統領就任は2017年1月20日前後)

第2回TV討論会を終えて、トランプ氏のスキャンダルが止まらないばかりか共和党からも見放されてしまい、もう大統領となる可能性は皆無のようにも思えます。

市場ではトランプリスクが後退したということで、NYダウも高値で安定。
日本株も17,000円台に差し込みつつあります。

さて、ここでトランプ候補の当選はともかく、トランプ大統領は世界にとって本当にリスクなのかどうか考えてみたいと思います。

トランプリスクは本当か

まず、ここでトランプ氏のリスクといえることを箇条書きに挙げてみましょう。

・TPPの反対(グローバル経済の停滞)
・低金利政策(円高要因)
・移民の反対、イスラム教徒の入国禁止
・議員経験がなく、過激な性格から不透明というリスクが計り知れない
・高所得者・富裕層に対しての株式での利益に対する懲罰的課税
・ウォール街への規制を強化
・数々の日本バッシング
・IS壊滅のため、地上軍の派遣や戦術核の利用も排除せず

こんなところでしょうか。

同氏は中国と並んで日本を批判しており、かなり過激な発言を繰り返しています。
一節を挙げると、「日本の安倍は(米経済の)●人者だが、ヤツはすごい。地獄の円安で、米国が日本と競争できないようにした。」などと発言。
出所:特集:トランプ円高が来る 2016年6月21日特大号

日本と中国を『為替操作の名人』と呼んでおり、具体例としてキャタピラー社のトラクターがコマツより売れないことを円安のせいだと批判。
中国には訴訟も検討し、あらゆる大統領権限を用いて貿易摩擦を是正すると主張しており、大統領就任後は2ヵ国に制裁するとしています。

本記事執筆時の水準(1ドル100円)はともかく、1ドル120円は許さないということが明確に伝わってきます。

ビル・クリントン大統領が時代に『ジャパン・バッシング』が行われ1ドル80円割れがあったことを考えると恐ろしい限り。

FXトレーダーでもある管理人の認識では、トランプ候補が当選すれば、FRBが利上げを行った後に90円割れとなることがは容易に考えられます。

そうなると、ドル円1円の下落で日経平均が200円下落すると計算すると、日経平均は14,000円割れまで下落することになります。2013年の株価とドル円の水準を重ね合わせると、納得のいく水準ではないでしょうか。
しかし、当時より原油価格が安い為、以前よりも個人消費の足を引っ張らないかもしれません。

また、TPPにはヒラリー氏同様に否定的で、日本が米国の雇用を奪ったと主張しているそうです。

むしろ、日本は海外の大規模農業によって奪われている気がするのですが。。
もし、同氏が当選してしまうと、ありとあらゆることを米国に有利となる様な政策を取ってきそうでなりません。

トランプ氏が候補になれば、流石にまともになる、共和党がサポートするといわれてきておりましたが、実際にはトランプ氏はトランプ氏のままでコントロールすることは不可能。

たとえ大統領となったとしても、劇的な変化は期待できないでしょう。

ヒラリー大統領のリスク

さて、ここでヒラリー候補が大統領になるリスクを挙げておきましょう。Hillary_Clinton

・健康問題
・円安批判
・TPP反対
・巨額の投資の実行(不透明要因)
・最低金銀の上昇
・税率の引き上げ

ヒラリー候補最大のリスクは、なんといっても健康問題でしょう。
9.11の追悼式の日に崩れ去る動画が配信されマーケットも雪崩を打ったように崩れたことは記憶に新しいところ。
これが大統領であった時のリスクとなれば、NYダウ1,2%の下落では済まされないはず。

様々な記事を読んでみたところ、同氏の病気は、脳梗塞・脳疾患からくる血管性痴呆症(血管型認知症)であるとの説が出てきており、一部では余命1年という憶測も飛んでいるようです。
しかし、余命数年の人を民主党が候補に挙げるとはとても思えず、病気はともかく、この話の信憑性は低いといえそうです。
ただ、これまでにも講演中に咳き込んだり、よろめいたりすることは度々あり、職務不能になるかどうかはともかく、米株を急落させるリスクはそれなりに孕んでいるといえそうです。
投資家にとって、大統領が倒れるなどという事態は恐ろしいことこの上ないですよね。

また、為替政策ではトランプ氏同様に円安を否定。
度合いはまだ軽いものの、1ドル100円の壁を下抜ける可能性が高まることになります。

そして、これは不透明要因として挙げるのですが、雇用創出と賃金引き上げ対策として『大統領就任100日以内に、第2次世界大戦以降で最大の投資を実現する法案を議会で通過させる。』としています。
参考:アメリカ大統領選挙2016(NHK NEWS WEB)

米国はほぼ毎年のように債務上限問題で右往左往しているのに、そのおカネはどこからでてくるのでしょうか。これが実行されなかった時には派手にマーケットの腰を折ってきそうです。リスクは大きいでしょう。
しかし、財政出動で何とかしようとするその状況。。
どこかで聞いたことありますよね。

ちなみに、米国の最低賃金は時給15ドルに引き上げることが目標だそうで、これは米国企業にとっては向かい風となるでしょう。

企業への増税や富裕層増税もトランプ氏より厳しいために、米国株高にどれだけ繋がるのかやや疑問なところがあります。

市場関係者の間では『ヒラリーが咳き込むと株が下がる』ともいわれており、仮に当選しても体調不良リスクが払拭されるまではそのリスクに怯えなければならない日が続きそうです。

トランプメリット

ここで、本記事の主題であるトランプ大統領誕生のメリットを挙げておきます。

ただし、日本(日本株)にとってではなく、米国にとってという意味となります。

・法人税の最高税率引き下げ(35%⇒15%)など大規模減税を柱とする経済政策
・所得税率を現在の7段階から3段階に簡素化
・所得税免除による国民格債の是正
・相続税の廃止
・ドル高の是正

こんなところでしょうか。

日本にとってドル安はリスクでも、米国にとってはメリットとなります。

企業経営者らしく、法人にフレンドリーな減税が目立ちますが、これにより企業収益は分かり易く伸びることになり、米国株にとっては喜ばしいところ。

この減税による金額としては、10年間で10兆ドル(約1100兆円)規模となるようで、成長戦略を合わせて行わないと米国の税収・財源が不安になります。

また、年収5万ドル(約570万円)以下の夫婦世帯および年収2万5000ドル(約280万円)以下の単身者は所得税を免除されるということで、これは中間層にとってかなりもメリット。

日本でいうと、地方の新卒1~3年目あたりが当てはまるのではないでしょうか。

この所得税免除は個人消費の喚起と、奨学生の返済補助などの面において効果的に働きそうです。
また、夫婦は育児に専念できることから待機児童問題も解決されそうです。
(日本的視点ですが。。)

そして、トランプ氏の経済政策により米国の経済成長率は最低でも年3.5から最大4%に達することが可能で経済の活性化により、10年間で2500万人の雇用を創出するとされています。

2014~2015年の米国のGDPを見ていると、ドル安×企業減税×経済対策というエンジンがあればあながち不可能ではない様に思えますね。

いかがでしょうか。

トランプ候補の政策案などから判断すると、米国にとってトランプ氏は意外にもリスクではないのではないでしょうか。

同氏は資産4500億ドルを保有する、世界でも有数の成功者であることは間違いありません。

女性を軽視する発言は許しがたいものがありますが、トランプ氏の大統領を見てみたいというアメリカ国民が今でも多いと思うのは私だけでしょうか。

両候補の政策比較

両候補の政策比較表
カテゴリー クリントン候補 トランプ候補
為替政策 ドル安 ドル安&円安批判
貿易 厳しい貿易管理 中国・メキシコに高い関税
TPP 反対(以前は賛成) 強く反対
雇用・賃金 最低賃金15ドル 10年間で2500万人の雇用
税金 富裕層増税、小企業・中間層減税 法人税減税、低所得者免税
対日政策 円安誘導批判 軍事費の費用負担

繰り返しになりますが、これを見るとやはり米国企業にとっても株式市場にとってもトランプ氏の方が良いように思えます。

支持率

最後に、現時点の両社の支持率をリアルクリアポリティクスとロイター調査のものを掲載しておきます。

■リアルタイムポリティックス調査(10月17日時点)
支持率
(出所:NHK NEWS WEB

■ロイター/イプソス世論調査
ロイター支持率
(出所:米大統領選特集|ロイター 調査対象者1万5000人以上)

やはり現状ではヒラリー候補が有利となっていますが、リアルタイムポリティックスを見ると意外にも大差がなく驚きです。

このままヒラリー氏がゴールまで突っ走るのか、それとも咳をすることにより一気に逆転するのか、はたまたトランプ氏が真面目人間になって起死回生の逆転となるのか。

あと20日となった米国大統領選挙まで、世界中から熱い視線が注がれることとなります。

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